-No Name-

  『死者の家』

一輪の花には風を 石の上には名前を
揺れる命は想う果て 何処までも高く
ただ青い空の下

やがて飛び立つ翼は 風とともに去りぬと
過ちの涙は水面の底へ たまゆらに降り積もる

底抜けの靴を引き摺って 歩みは続くけれど
白く染まるこの胸に 抱き締めて 凍てついて

目覚めの春に 私は一人
拾い集めた 欠片を辿り

光を浴びて 満ちる最期に
あなたの元へ 還る時まで