ダンデライオン

 気付けば1月も半ばで、年々時間が早く流れていくのを感じます。

去年のことは昨日のことのようだと錯覚してしまうことがあっても、

思ったほど記憶は残らない。

在りし日の声を思い出しても、その声の主の顔にモヤが掛かっていました。

何のためにあの日は誓って、描いてきたのか。

たった一度描けば良いものではなくて、続けて描き続けないと

意味がないのかも知れません。

 

 

 記憶を今に繋ぎ留めること、絆を繋ぎ留めることは簡単ではないようです。

悲劇の記憶も、愛しい人との絆も同じことです。

なので今年も、これからもずっと、忘れないために描き続けたいと思います。

 

 

 『ダンデライオン』という詩を書きました。

仏頂面で几帳面で、時々笑ったにはピッタリの名前かも知れませんね。

 

 

 

『ダンデライオン』

 

 

お池の船着場を 一人歩いていました

指差し駆け抜けて あの日は笑ったような

 

幾度目の春 泣き出しそうな曇り空

 

声が聴こえて 瞼の裏側には

霞んだ輪郭と 忘れない名前

 

永久を夢見た桜火は

今日の私と あなたのようでした

 

黄金色のタンポポが 足元で笑いました

初めましての再会が嬉しくて ちょっぴり寂しくて

 

どうか 知らない顔でいてください

雨に隠れて こっそり泣いたことを