さて、長らく掛かりましたが新作"-Forever Blossom / 約束の場所-"が完成しました!!
本作は画/詩内の「その他作品」と御土産にて掲載させて頂きます。
本作はおよそ2年前に描いた"-Forever Blossom-"という作品のリメイクで
単に似たような構図を取るだけではなく、新しい技法と解釈も加わって、
結果的には全くの新作と変わらない新鮮な気持ちで取り組むことが出来ました。
本日の日録では本作の制作の裏側をちょろっとご紹介したいと思います(^^)
Twitterからお越しの方は既に完成品をご覧になられたと思いますが、
実は完成を前に貴重な(笑)途中経過をスキャンしておきました。
それがこちら!!
自宅のプリンターでスキャンしたので品質が異なりますが、
明らかに一人だけお地蔵さんみたいになっていますね(笑)
というのも本作は、黒鉛筆による下塗りの上から色鉛筆を塗るという
まこと変態じみた技法を初めて本格採用した作品となりました(゜∀。)
上の画像は色鉛筆を塗る前の下塗りで、背景も全てこのような状態から
色を加えていきましたが、感覚としては普段のモノクロの上に色をちょいと乗っけた
だけなので、工程としては寧ろモノクロが主役と言えます。
ただまぁ一部例外があって、流石に目を変に濁らせるのに気が引けましたので、
目だけは青色一本での単色塗りとなっています・・。
どうしてこんな塗り方を採用したかといいますと、
元々僕はモノクロを主体にしていた所で色鉛筆を持ち始めて、その可能性と面白さに
惹かれながらも元来のモノクロも捨てがたく、ならば両方で塗ってしまえと
明らかに保守的な考えが災いしたからでした(T▽T)
ところが実際に塗ってみると、元々のモノクロ作品の印象を壊さない調和があって
ひょっとしたらこれからの制作の重要な基礎となるかも知れません。
モノクロ作品をかれこれ描いていたわけですが、制作中は同じ黒でも
「あの黒はこの色、この黒はあの色」というふうに脳内変換をしていて、その
イメージにとても近い色がこの技法では上手く出てきたという印象でした。
ただまぁこの技法もまだまだ及第点といった所ですので、制作を続けながら
上手く手に馴染ませたい所です(^^)
毎度作品解説を設けていますが、どうしても1ページには収まらないという事態に
なっていて、本作もその例から漏れなかったと言えます。
原作と同様に本作も「命の儚さ」「再会の約束」というテーマとともに
根本的に「死」という運命を内在しています。
原作ではじっくり制作を味わうよりも下積みのうちの一作という意味合いが強くて
余裕があまりなかったですが、二年ぶりにリメイクという形で同一の題材を扱った時、
全く異なる手応えがありました。
長期制作の度に「荒波」と僕が呼んでいる現象と遭遇したのが大きな違いでした。
初めは単純に何かしらの題材のある絵を考えて、ラフを起こして線画に移っていく
わけですが、制作が進むに連れてその題材に関する出来事を思い出したり、
その題材を日常の経験から強く意識させられることがここ最近必ずと言っていい程
起こったので流石に偶然ではないと、それを「荒波」と今は呼んでいます。
一種の自己暗示なのかも知れませんが、振り返っても違和感がないのは本当に
不思議なくらいです。
制作の合間に様々な場所で強烈な印象が刻みつけられるので、完成品を見る度に
制作の合間にあった様々な出来事、例えば全く無実なのに警察から手荷物検査を
させられた時や街中で誰かから暴言を吐かれた時のような些細な出来事さえ
思い出すことも珍しくありません。
今回の「荒波」は3度訪れて、一つは3年前に亡くした祖父の記憶を不意に
思い出したこと、二つは小学生の頃に拾った子スズメのことで、
三つは伊豆のカフェへの旅路のことでした。
人生の中で出会った死、そして出会いの先にある別れを想う儚さが制作に与えた影響は
大きく、その度に筆を持てなくなってしまうことがありましたが、こうして完成に
漕ぎ着けたことには改めて嬉しく思います。
一文の得にもならなければ一人で悶える制作をどうしてここまで続けられたのか、
どうして続けようと思えるのかは正直自分でも分かりません。
強いて言えば表現者としての営みだからとしか言いようがありませんけれど、
これが少しは誰かの手元に届けばと願っています。
何かを押し付けられて追い詰められて、ひねくれて何もかもが嫌になってしまう時でも、
少し立ち止まる時間があれば、今日という日も少しはマシになると思います。
自由な時、憩いの時を与えるのが表現者としての役割ですからね。
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