最近Twitterを始めましたが、その中で日録を紹介すると僕の予想以上に
音楽感想の方でご好評を頂きました!!
元々「アトリエ」の参加者様を募集するための宣伝材料としてSNSを
活用しようとしていましたが、僕の思わぬ所で思わぬ反響がありましたので、
それに少しずつ応えていきたいと思います!!
フォロー/リツイートして下さった方々、本当に有難うございますm(_ _)m
というわけで今回は、先月やりそこねたレビュー記事を改めて書きたいと思います。
7月13日発売、ASIAN KUNG-FU GENERATIONより『ブラッドサーキュレーター』!!
今年はアジカン結成20周年の節目の年で、これまでに二枚のシングル
『Right Now』『Re:Re』をリリースしていましたが、『Right Now』は映画
『ピンクとグレー』の主題歌として、『Re:Re:』はフジテレビ系のアニメ
『僕だけがいない街』のOP曲としてタイアップし、年始から勢いを見せてくれました。
そして結成20周年の目玉として、最大のヒットを記録したアルバム『ソルファ』の
全曲が再レコーディングされて秋にリリースされることがが決定しました。
本シングルはアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』のOP曲に採用され、
既に耳に馴染まれた方も多いかと思います。
2003年のメジャーデビュー時は『NARUTO -ナルト-』のOPに『遥か彼方』が、
そして2012年公開の『ROAD TO NINJA -NARUTO THE MOVIE-』の主題歌に
『それでは、また明日』が採用され、今回でナルトとは三度目のタイアップとなりました。
余談ですが、アジカンのボーカルである後藤正文さんが編集長を務めるフリーペーパー
『THE FUTURE TIMES』の4号の表紙(右画像)はナルトの作者である岸本斉史さんが
担当しており、お互い良きパートナーとして認め合っている所がうかがえます。
赤と青を基調としたジャケット。
青い目の狐といい、ジャケットを見た時点で既にタイアップの雰囲気が
にじみ出ていますが、CDを外した時に見られるジャケット裏にもナルトファンなら
あっと驚く細かいタイアップ要素が見られますので、これはご自身の目で
是非確かめて頂きたいです(^^)
歌詞カード並びに帯にあるアジカンのロゴはなんと狐の姿・・!!
『ソラニン』のウサギといい、中村裕介さんのアートワークには何時も驚きます( ̄▽ ̄;)
イントロのリフからして、前回のアルバム『Wonder Future』以降のアジカン節を
披露しつつも、同じフレーズにも多彩な変化があり、3分40秒ほどとは思えないほど
非常に充実した音楽体験を味わうことができました。
アニメの縮小版でカットされた部分も、フルで聴くとガラリと印象が変わります。
「曖昧な評伝」「世世 歳歳」「寄生虫と蝸牛(まいまい)」と韻を踏んだリズムは
秀逸で口ずさむだけでも楽しく、これはもはやお家芸と言える技術ですね。
ドラムは『Wonder Future』以来の力強さを受け継ぎ、特にサビのバスドラムは
どなたかのレビューにもありましたが、歌詞も相まって高鳴る脈動が見事に
表現されています。
この曲の魅力はエンターテイメントとしてだけではありませんでした。
「雨は止んだよ」からの畳み掛ける言葉は20年の歩みが凝縮され、とても重みがあります。
ツアーを経て国境や国籍を超えたグローバルなバンドとなるにつれて、その言葉は
誰に向けられているか、深読みをし過ぎてもそれが当たってしまいそうです。
歩みを止めないで
希望を捨てないで
独りで泣かないで
身体を傷つけないで
愛に飢えないで
憎しみ溜めないで
どうか振り向いて
どうか 君よ
今の世界は悲しみと怒りに溢れています。
難民の人たちがボロボロのゴムボードであてもなく流されている。
憎しみによって悪に手を染めた若者がいて、理由も聞かれずに殺されている。
無力さに圧されて、全てを諦めようとしている人がいる。
寂しさを隠すように誰かを傷つけて、孤独になっていく人がいる。
それは全部、本当に世界で起きていることでした。
国境も信仰も距離も乗り越えて、伝えたい言葉があってこうして今、
僕たちは同じ音楽を聴いている。
それが、一番やりたかったことだったのか。
それは単なるきっかけでしかなくて、その先へ繋げる橋渡しなのかも知れない。
前回のアルバム『Wonder Future』の『Little Lennon / 小さなレノン』
から借りれば、どんな捉え方があったとしても「さあ イメージ イメージ イメージ
喩えろよ 塗り替えろよ」ということなのかも知れませんね。
思えばアジカンは僕が初めて音源に触れたバンドで、中古で買った『BEST HIT AKG』
から始まって徐々にアルバムとシングルを買い漁るようになりました。
もう一度、ここまで音楽に熱中させてくれるきっかけを与えてくれました。
僕は中学高校と合唱部をやっていましたが、歌うことは楽しいです。
けれどいつの間に勝敗や意地を懸けて、歌うことを相手を打ち負かす武器に
してしまってからは、もう他の音楽が聴けなくなってしまいました。
そしてポピュラーミュージックの軽薄さにウンザリさせられたのも追い打ちでした。
音楽は捨てたものじゃない、そう思い出させてくれたのがアジカンでした。
特にボーカルの後藤正文さんは、僕が最も尊敬するうちの一人です。
僕はいま絵を描くという形で表現とは改めて関わっていますが、その精神的な
基礎に最も影響を与えたのは間違いなくアジカンでした。
特に大切にしているのは「表現は時限装置」という後藤さんの言葉です。
後藤さん自身が影響を受けたジョンレノンの音楽との出会いは、既にジョンが
なくなって久しい頃だったと言いますが、時の流れの中で朽ちることなく、
そのメッセージが受け継がれているといいます。
今すぐに評価されなくても、いつかは表現の箱を拾い上げて開ける人が現れるなら、
例え作者がいなくなった後でもその作品が生き続けることができます。
今の時代はあらゆる物事が即席化して、短時間のうちに消費されていくように
なりましたが、その中で見失ってしまったものを取り戻したいという気持ち、
諦めたくないという気持ちをずっと支えてくれました。
情熱 燃やしたあの頃を
心血注いで取り戻すんだ
縁で繋がれば この日々も
捨てるほど壊れてないだろう
暴力ではない、権力でもなければビジネスでもない。
そんな方法でいつかは、目の前の景色を変えていきたい。
僕は無名で微力な個人ですが、与えられた場所と縁に誓ってこの歩みを続けたいです。
その旅のお供に、アジカンの音楽があることはとても心強いです。
最後にカップリング曲の『八景』は、ボーカルと作曲はギターの喜多建介さんが
務めおり、更に作曲のクレジットにはベースの山田貴洋さんの名前も・・!!
過去の作曲のクレジットではボーカルの後藤正文さんのみか、後藤さん+メンバーの一人
orメンバー全員か、山田さんか喜多さんのみのものを見かけましたが、これは初めての
組み合わせ・・。
喜多さんのボーカルは2006年発売の『ワールドアパート』のカップリング
『嘘とワンダーランド』が初で今回が4度目のボーカルとなりますが、
曲もお色気もその度にパワーアップしていますから、喜多さんファンは喜びすぎて
失神するんじゃないかと心配にもなります(笑)
それにしても今回のカップリング、過去作の『タイムトラベラー』(『Re:Re:』収録)や
『シーサイドスリーピング』(『Easter』収録)みたいに海の景色が思い浮かぶ曲で、
まさか喜多さんのボーカル曲だけで『サーフ ブンガク カマクラ』みたいな
アルバムでも作るのではと思うほどの勢いを感じます( ̄▽ ̄;)
面白くなれば何でもやりそうなアジカンなので、これは怪しい・・。
ともかくこういうドキドキを巡らせるのも、アジカンの楽しみ方の一つかも知れませんね!
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