Twitterのアカウント開設。
これがまさか、旅の始まりになるだなんて誰が予想できたのでしょうか(汗)
ひょんなきっかけから昨日は静岡県伊豆市にある『Cafeルソー』を目指し、
片道260キロの旅路へと漕ぎ出しました‼
そして今日、命からがら帰還してこの記事を書く事ができました( ̄▽ ̄;)
さて本日は懲りない下道ツアラー・婆娑羅の二度目のロングツーリング
始まりのきっかけと目的、そしてその旅路を紹介していきたいと思います‼
初めにもありますが、今回の旅はTwitterのアカウント開設から全てが始まりました。
元々Twitterは「アトリエ」の参加者様を募集するための宣伝手段として最近
始めたのですが、一体どうやって僕をリサーチをしたのか、前々から
気になっていた方々のアカウントを発見することになりました( ̄▽ ̄;)
その中で僕が最も尊敬する一人が伊織さん。
現役バリバリの漫画家さんで、メイプルストーリーのファンアートでも
「xo尊の母ox」と「xoウズメox」というキャラ名で活動されていましたが、
ファンアートで活動したての僕を見守って下さったのが今でも忘れられませんでした。
評価のためでも相手を打ち負かすためでもない、一緒に楽しむことを大切にされていた
方で、その包容力のおかげで僕は今でも絵を続けていると言っても過言ではありません。
さて本題に戻りますと、伊織さんのこのツイートが全ての始まりでした。
「中伊豆にあるCafeルソー(画材屋さんでもあり)に於いて
『第2回高校生アート展』開催中。 娘の作品も展示されています。」
僕の住む名古屋からは思ったよりも近い所で開かれていて、
アート展を機にそれまでの距離をグッと縮められるチャンスだと予感しました。
しかしながら娘さんの作品を拝見できるのは七月いっぱいだったため、
その時僕の予定で都合が良かった日は昨日、23日しかありませんでした。
それでも二度とない機会を逃すまいと決心し、Cafeルソーへの旅を断行しました‼
さらに、伊織さんもその日の13時から15時までは現地にいらっしゃる
とのことでしたのでもう心臓バクバク( ̄▽ ̄;)
憧れの方とお会いできるチャンスでもあり、これまでにない
興奮で眠れない日々が続きました。
でもまぁ結論から申しますと、現実はそう甘くなかったわけです(゜∀。)
それは以下に記します・・・。
道を下調べし、万一に備えて道しるべをメモした紙を持参。
今回の移動手段はバイクしかなく、しかもそいつは125㏄以下という訳で、
高速道路と自動車専用道路には乗れないというデメリットがありましたが、
高速その他を検索要項から外して現れた道は実に片道5時間と数10分。
苦手な早起きさえ克服すれば十分間に合う距離で、実際当日は朝の5時半に出発。
これで余裕シャキシャキだ!!
・・・・そんなはずもなかったです(T_T)
先ずは豊橋行きの広い道を走るわけですが、高速道路顔負けの広さに興奮して、
風を浴びながら走るというバイクの楽しみを思いきり堪能‼
そんな楽しみも長くは続かなかった・・・。
その日は曇りで、プロテクターをフル装備してもそこそこ暑いという程度の
気候でしたが、曇天で長距離を走ると真夏でも歯ぎしりをするくらい寒いです。
まぁ、半年前に真冬で走った秩父への旅よりはずっとマシなのでそう問題はなかったです。
愛知を抜けて静岡へ、浜名湖に浜松の海岸沿いと夏にはうれしい
景色を堪能しつつ、信号が殆どない山道へと続く。
曲がった先にひっそりと待ち構える自動車専用道路。
卑怯なことに信号を曲がった先にその標識が現れ、例によって車線は左折専用と
逃げ場のない罠を仕掛けてくれたわけです(#^ω^)ピキピキ
結局はバイクを降りて路側帯をトボトボ歩いて引き返す羽目に・・。
こんなことばかりが続いて遠回りになっていくわけですが、
根本的な問題がその前からあった・・・。
調べた道順は高速道路を使わないとあっても、バイパスを始め自動車専用道路までは
配慮に入れてなかったわけでした( ;∀;)
自動車専用道路ではないルートを、とち狂ったナビと一緒に自力で探すことに・・。
方向音痴な僕にはこれ以上にない地獄だ・・。
遠回りに加え、渋滞が僕の堪忍袋をチョイチョイと突く(#^ω^)ピキピキ
しかしながら散々待たされた後のご褒美も神様は用意して下さったのか、
開けた海岸線をスルスルと滑走するアトラクション‼
ここは思いきり楽しもうじゃないか、どうせ周りは速度を守らないわけだし‼
周りに合わせる形で時速70~75キロで走行、法定速度60キロのバイクでは
なかなかにない体験ですね~。
・・・・それでも飽き足らぬせっかちもいるとはね。
75キロでは足りん‼と後ろから詰めてくるのはオッサンシルバーのベンツ( ´)Д(`)
流石に怖くなって非力な125㏄エンジンを唸らせ、何とか85キロを維持。
・・・それでも足らんとドンドン詰めるオッサンベンツ。
挙句には警笛を鳴らし、僕のすぐ左後ろで軽自動車が併走しているにも関わらずに
追い越そうという、とんだ魂胆の持ち主でした。
その恐怖は実際に煽られてみないと分かりませんが・・・全くおススメできません。
何時かは申し上げたかったことですが、公道サーキットをやったり無理やりすり
抜けたりする危ない運転のライダーが確かにいますが、二輪車の特性上、常に神経を
ピリピリさせて運転するライダーを煽って詰めたり追い越したりする車は大迷惑です。
僕はバイクも車も乗りますが、相手の気持ちを考えた運転が一番ですね(-。-)y-゜゜゜
真夏に凍え、自動車専用道路の罠にハメられ、渋滞にハマり、
数々の車に煽られることを繰り返したわけですが、気付けば殆ど休憩なしで
運転していて、もはやハンドルを握る手とハンドルとの境目が分からなくなるほど
感覚が麻痺していて、意識的には両手をだらんと下しているのに実際は
両手でハンドルを握っているという気色悪い錯覚に陥ります。
休み休みが一番良いツーリングですが、数々のトラブルと僕の不手際で
既に伊織さんを待たせているわけですから、休んでなどいられませんでした。
最後の交差点である冷川(文字通り涼しくて川も流れています)を右折し、
緑の木々をくぐったその先にありましたCafeルソー‼
しかし伊織さんは既に用事でお帰りになられていて、僕が到着したのはその20分後。
娘さんが既に受験生でそのための準備に追われている中、
僅かな時間を割いて僕のことを待っていて下さりました。
それなのに約束も守れず、申し訳なく思います。
伊織さん、ごめんなさい・・・。
それでも無事、娘さんの作品を拝見できて良かったです。
山道の片隅にひっそりと佇むそのカフェは、まさに秘密基地。
緑の山々に囲まれたそこではホトトギスやウグイスがさえずり、ヒグラシが囁く。
幻想的な自然の大合唱の中、とてもゆったりとした時が流れていました。
ヒグラシと聞くと夏の終わりを思い浮かべますが、今は夏真っ盛りです。
僕の到着と入れ替わるかのように帰られた伊織さん、このヒグラシの囁きが
その時僕が抱いた感情と似ているように感じてなりませんでした。
このカフェを経営されるのは二人の年配のご夫婦でした。
お互いに「父さん」「母さん」と呼び合うその姿が微笑ましいです。
僕が入店した時の第一声は「父さん」からでした。
「愛知からみえた人?」
どうしてそれを!?
それこそ、伊織さんがいらっしゃった足跡でした。
娘さんの作品を見に来るために向かっていることも、しっかりと話して下さったのですね‼
一緒にお話しできなくて悔しかったですけど、もうそれだけで胸がいっぱいです。
遠い所からやってきた僕を気遣って、先ず一杯のコーヒーを淹れて下さりました。
トゲの立たない酸味と苦味、まろやかで僅かに甘みを感じる、上品な味わいでした。
コーヒーのことは良くわかりませんけど、ここのコーヒーはどこか特別に感じました。
所せましの画材置き場、展示のためのスペース、ちょっと浮いている二次元キャラの
垂れ幕、国境やジャンルを超えたおもてなしの心が、自由な営みを感じさせます。
お客さんは僕のほかに二組いらっしゃり、一つは日本人と結婚して暮らしている
欧米系の女性。
もう一組は年配のご夫婦で、コーヒーと一緒にクリームぜんざいを召し上がっていました。
どなたも画材に触れたり、それぞれの制作に勤しんでいる様子がお話から窺えました。
そんな風景を眺めているうちに、父さんが僕に声を掛けて下さりました。
僕の出身地について、伊織さん親子がここにゆかりがあったこと、
父さんと愛知県との関わりのこと、僕が思う表現の今について、
震災時に僕が受験生だったこと、社会の混沌について、僕が表現を通して
やりたかったこと。
どちらかと言えば僕の方がよく喋っていましたが、父さんは静かに、
耳を傾けながらも時々に話されました。
他愛もないゆったりとした時間、懐かしさに似たそれは、もうすぐ終わってしまう。
既にランチ提供は終わっていて、それならば軽食はと尋ねますと、
父さんと母さんは相談して、わざわざカレーを振る舞って下さりました。
「ここのカレーは美味しい」と伊織さんが勧めて下さった味を、
僕はずっと待ちわびていました。
しばらくして、そのカレーがやってきました。
骨付きの鶏肉に紅ショウガが少し乗っていて、隣にはオレンジと思われるかんきつの
果肉の入ったサラダ、ゆっくりと口に運ぶ。
出発前の朝食以外に何も食べていなかったけれど、旅の疲れで手と口の動きは
とても鈍くなっていました。
おいしい。
こんなに優しい味のカレーは初めてでした。
しっかりした味がするのに、まるで押しつけがない、芸術的とはこれを言うのかな。
かんきつ入りのサラダには初め驚きましたが、そのアクセントは見事なものでした。
15時20分に着いて、17時少し過ぎになるまでの殆どの時間、
客は僕一人でした。
ここでずっと待っている気持ちはどんなものだったのかな。
ここで何を見ていたのかな、そんなことを考えながら辺りをグルグルと見渡す。
初めに座ったテーブルの前に掛けられた絵は、まさに伊織さんの娘さんの作品でした。
のちにお聞きした所、左側の『憧憬』という作品は『佐藤太清賞公募美術展』にて
特選を受賞した逸品でした。
一方右側の『猫の手も借りたい期末テスト』はうって変わってかなり
プライベートな内容とも言えます。
受験も真っ只中、一人で勤しむ受験勉強は孤独で誰かが隣にほしかったと
思いながらも、実際色んな人をはね付けていた昔を思い出します。
凛とした孤高からは無邪気さが少し顔をのぞく、この年でなければ描けない、
そんな作品だと思いました。
技術もやはりすごかったですし、畏怖の念のようなものもありました。
僕みたいに我流で不定期に無計画で描いているわけではなくて、
しっかりと秩序と論理が見えてくる。
そのような作品は、何も言わずとも語るのですね。
全てが名残惜しい、どんなにゆっくりな時間でも確実にお別れはやってくる。
それが怖くて、ウロウロと歩き回っている僕でした。
やっと踏ん切りが付いたところで、父さんにお会計をお願いしました。
「お会計はいいよ、うちで食べるものだったから」
あのコーヒーもカレーも、お二人からの「お気持ち」でした。
一瞬戸惑って、その後にぐっとこみ上げてきました。
ここに来て僕は何もしていなかったのに、どうしてこんなに。
人を待たせて、約束も守れなかったのに。
無理を言ったかも知れなかったのに、どうしてそんなに優しいの。
気持ちが裏返したように、悲しくて泣きたくなるほどでした。
泣いたりはしませんでしたけど、年のせいなのか最近は随分泣き虫になっていました。
僕はあまりに惨めで迷惑だったのに、それを赦されてこんなに優しくしてもらった。
旅って、こういうものなのかな。
伊織さんにはお詫びとお礼に一報をと思いましたが、あいにく
連絡先はカフェでも控えていなかったので、それは叶いませんでした。
それが迷惑だからということで、そうなったなら良いですね。
この日禄に載せてある写真の撮影も、ご夫婦から快く許可を頂きました。
その記憶が何時かは薄れてしまうのが怖いので、今は精一杯に書かせて頂きました。
僕が欲しかったものが、そこにあったことを忘れないために。
いよいよ、お別れの時間がやってきました。
「またご縁がありましたら。」
せめてその言葉だけは残しておきたかった。
思えば、偶然に見えるものの積み重ねが今で、それが一つの作品になっているのは
自分でも分かっていました。
けれどそれを具体的に体験できたのは、他ならぬこの日でした。
ルソーの魔法が、これからの筆に宿るようにと祈って、制作を続けます。
最後に、素敵な旅と出会わせて下さった伊織さん親子にもお礼を申し上げたいです。
出来れば直接言葉でお伝えしたかったのですが、それは叶わなかったので、
せめてもの気持ちで書いた手紙をここに載せたいと思います。
あまり字は得意ではなく見苦しい内容かも知れませんが、
これが囁かなお返しになれば嬉しいです。
コメントをお書きください
テスラ (月曜日, 25 7月 2016 22:36)
今回の旅も壮絶だったようだね・・・
結果、尊母さんに会えなかったとしても、また会う機会はいずれ来るでしょう。今回の旅では体力的に言えば秩父までの方が圧倒的に辛かっただろうけど、精神を動かした旅はこっちの方が上だったよね。手紙のほうも心がこもっていて流石だと思ったよ。
やっぱり旅っていうのはすごいよなー。外国に行くのがすごいとかじゃなく、日本の中でもいっぱいこういう経験ができる。距離は関係ないね。旅をするたびに必ず新しい何かを手に入れ、強くなれる。
今度は250ccで行こうww
婆娑羅桜火(管理人) (月曜日, 25 7月 2016 22:46)
コメント有難うございます!!
「予想外」というのは何度もありましたけど、一番大切なのは思い通りの結果ではないと、
その度にいつも振り返ります。
正直、とても悔しかった思いは今でもあります。
だからこそ一時の出来事にしないで、これからも続けていこうと頑張れそうな気がします。
でもまぁ、移動手段からして間違っていたのは確かですね( ̄▽ ̄;)
今度は高速道路にも乗れる車か、懲りずにバイクでしたら
250ccで挑みたいです!!
免許だけでも来年辺りには取ろうかと思います。