-amabie-

   『桜の挽歌』

白い冬の雪原と 茹だる夏の晴天も
蜃気楼 それは遠浅に揺らぐ 夢の中

息を止め 陽炎は月を眺め
人は泡沫 祈るその手は あなたに触れない

さきくの果てに 散り逝くを数え
揺れる枝先に 咲く花は

悲しみの花を散りばめて 春があなたを攫っても
すれ違い 人違いのあなたと出逢うのでしょう

ぎこちない春の終わりには 新緑が萌えるように
赤い頬の刹那さは やがて白に還るのでしょう